本気でバカをやっているのは、センチメンタルの隠れ蓑じゃないだろうか。電気グルーヴ至高の名曲「虹」のリミックス集。

電気グルーヴ

虹 The MFS Twilight Remixes

3,300 yen 12inch/Techno/GER
Disc:3.5 jacket:3.5 sound:3.5   ※レコードの状態につき、5段階評価を行っています。5が最高、1が最低です。
盤キズ若干あり、チリノイズ若干あり。ジャケット裏面丸型スレ若干有り、上部及び四隅ダメージあり

ダンス・ミュージックが好きな人、もっと大きく言えば、音楽が好きな人であれば、避けては通れない曲というものがこの世には確かにあります。電気グルーヴの「虹」も、そのような曲であることは異論のないところ。もはや説明不要かもしれませんが、ここでは敢えて説明させてください。
本作はドイツのMFSレーベルから発売されたリミックス集で、3バージョンのリミックスが収録された12インチです。オリジナルはUnderworld「Rez」にも匹敵するセンチメンタルかつ高揚感に満ちた曲(というより、「Rez」以上の名曲だと思っています)ですが、本作に収録されているリミックスは、オリジナルの雰囲気を残したリミックスや、逆に自由な解釈を見せたリミックスも収録されています。
A面「Mijk van Dijk's for Boys remix」は、冒頭に五島良子の声が入るものの、以降の展開は思いきりエフェクトをかけて、キックを強めに取り出した、レイヴ・ミュージックです。純粋にレイヴとして素晴らしい仕上がりなのですが、日本人のリミキサーであれば、ここまでオリジナルを壊すことができなかったかもしれません。各々の曲には作り手の思いも当然あるでしょうが、聴き手の受け取り方もまた千差万別。面白い解釈だと思います。音楽には国境があり、国境があるからこそ面白い、ということが実感できるリミックス。
一方でAA面の2曲は、共にオリジナルの雰囲気を残しつつ、フレーバーを加えた仕上がりです。「Go=Ten Forward remix」(試聴は本曲)はJazzyな冒頭から、徐々にオリジナルの雰囲気へ近づいていくアプローチ。五島良子のヴォーカル部分をボイスサンプルとして多めに散りばめており、後半になるにつれキックも太くなっていきます。ジャズ〜テクノの橋渡しなど、フロアで利用できる場面もかなり多いと思います。「Tobynation Sayonaradio」は、ピアノをフィーチャーしつつも、冒頭からオリジナルの雰囲気を踏襲した仕上がり。尺が4分弱と短く、ブレイクや展開も早いため、ピーク前後に重宝しそうです。AA面の2曲が私はやはり、好きです。こんなに全てが詰まった曲って、そう出会えるものでもないから。

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